気候危機問題が人類的な課題として大問題となっています。
地震や豪雨、気温上昇による様々な異常事態が相次いでいる中で、「何かおかしい」と感じている人は少なくないのではないでしょうか。
国内最大の団結体である労働運動に携わる者として、労働組合が気候危機打開のために何をすべきかについて、今以上に研究・議論・実践をしていくことが大切だと思います。
■私たちができることはなにか
私たちの労働組合は、これまでも公害問題や脱原発など労働条件以外の運動にも、「市民運動と連帯する」「運動の敷布団になる」と共に、当事者として、先頭に立って運動を行ってきた歴史があります。
気候危機についても、自らの領域でどう闘えるのか、独自の運動ができないものだろうかと考えています。
例えば、労働組合が、春闘要求に「気候危機打開について」を盛り込み、自らの企業や産業、地方自治体、国に対して打開策を要求することはできないでしょうか。
「私たちの企業・産業・地域において、気候危機を打開する具体的な一手を打とう」という要求は、労働者も経営者も地方自治体も、自らの問題として気候危機に本気で向き合う力に、推進力なるのではないでしょうか。
現に、ドイツでは自動車労組が政府に対して「EV(Electric Vehicleの略で、日本語では電気自動車)への投資を拡大すべき」と要求しているといいます。
再エネ・省エネへの転換によって、現在よりも大幅な雇用の拡大が実現できるというのが世界的な試算であり認識です。
例えば、省エネ・再エネへの産業シフトによってあらたに日本国内で254万人の雇用が生み出されるとの試算があります。
また、資源に乏しい日本は、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っておりエネルギー自給率は11.8%、原油は中東地域に約88%依存し全体で99.7%が海外に依存しています。石炭はオーストラリアなどに99.5%も依存しています。
要するに私たちの光熱費は海外への支払いに使われていることになります。
日本のエネルギーを省エネ・再エネにシフトすると、この費用が国内・地域に支払われることとなります。
明日香壽川さんの「グリーンニューディール(岩波新書)言葉を借りれば、「アラブの王様に払うよりも、日本の再エネ発電業者に払うほうが国内経済にプラス(投資)になる」ということ。
気候危機打開の促進は、地域経済への投資であり日本経済を立て直すうえでも極めて経済的合理性のある道だといえます。
現在、再生可能エネルギー基本条例を定めている自治体は30を超えます。
山形県は2030年までのエネルギー政策基本構想を策定し、「ゼロカーボン山形2050」を見据え、エネルギーの地産地消を進めています。2019年度には55%まで進捗しており、再エネの地産地消が進んでいます。
脱炭素化の運動を全国の地域で拡げ、地域の資源を活用して地域内経済循環、雇用の創出を運動化することが求められていると思います。
これらの事実は、労働者のみならず地域に根を張る中小業者、一部の利益共同体を除く国内企業にとっても大きなメリットがあり大きな協同を可能にすることを示しています。
■私たちができることを探求しよう
労働組合が気候危機を打開する要求を正面から打ち出し、闘いを展開することができれば、国民的世論、世界的な気候危機打開のスピードを加速させていく力になるのではないかと思います。
今回企画したシンポジウムを通じて、労働組合が「私たちにできること」を拡大し、諸要求実現の力にしていく契機としていければと思います。
2・26シンポジウム
「気候危機打開と労働組合
~気候正義を実現するために労働組合ができること~」
■主催:神奈川労連「気候危機打開2・26シンポジウム実行委員会」
■事務局 神奈川労連
Tel045-212-5855 Fax045-212-5745
e-mail info@kanagawa-rouren.jp
コメントをお書きください