野党共闘は実は大きな一歩を踏み出した

戦争放棄を明記した憲法に違反する「安保法制」が強硬採択された2015年9月19日年から6年。

憲法を蹂躙し、情報を隠蔽し、対話を拒絶してきた自公政権を終わらせようと、選挙の前ギリギリに「野党共闘の候補者一本化」が実現しました。

しかし、選挙の結果を見ると、野党共闘の中心であった立憲民主と共産党は議席を後退させ、一方で自民党は議席を減らしたとはいえ、過半数を超える議席を確保し、連立を組む公明党も議席を増やした。

そして、自民党以上に「改憲」を煽る維新が大きく議席を増大させることによって、「改憲派」勢力が国会議席の三分の二を占めるという結果となりました。

「野党共闘は失敗した」「共闘しても意味がなかった」などのマスコミの言説も気になります。それは本当なのか?数字を追って考えてみました。

 

≪野党共闘で小選挙区では議席を増やした≫

10月31日投開票された衆議院選挙は、政権与党の自民・公明両党が公示前から後退したものの293議席と多数を占め、立憲、共産、社民、れいわなどの市民と野党の共闘候補は113議席、自民の補完勢力である維新が41議席へ伸ばしました。

投票率は55.9%と戦後3番目の低さでした。

野党で候補者を一本化した選挙区では、自民党幹事長や閣僚らが落選するなど62の選挙区で与党候補に勝利し、41の選挙区で僅差(惜敗率80%以上)まで追い込みました。

これは、小選挙区制のもとでも野党共闘によって勝ち取った大きな成果と言えます。

小選挙区制度の下で、野党共闘で統一候補を立てることのできた142選挙区では41勝(勝率28.87%)でした。

維新とみつどもえとなった71選挙区では21勝(勝率29.57%)

統一できなかった72選挙区では6勝(勝率8.3%)。

一本化した選挙区の4割が接戦だったことになります。

 

さらに、身近な選挙区で見ても野党共闘によって小選挙区での議席獲得は実は大きく前進しています。

 

東京 前回4勝→今回8勝   

千葉 前回1勝→今回4勝    

神奈川 前回7勝→今回8勝

このことからも、野党共闘で候補者を一本化したことの成果は大きかったのではないかと思います。全体的には議席は減らしましたが、実は小選挙区では「野党共闘」によって議席を増やしたのが今回の選挙結果でした。

小選挙区制度という選挙制度の下では「野党共闘でたたかうという戦略」はベストであり、これからが本番です。

 

≪憲法改悪の現実的危機が迫る≫

今回の選挙結果で、自民、公明、維新の改憲勢力が改憲原案の国会発議に必要な衆院総定数の3分の2(310議席)以上となったことは重大な事態です。

岸田首相は「積極的にとりくむ」と発言し、維新代表も「来年の参院選と同時に憲法改定の国民投票を実施すべき」と改憲姿勢をあらわにしています。

憲法改悪をぜったいに許さないとの決意を新たに、憲法を守り生かす運動を広げ、来年夏の参議院選挙では改憲勢力に厳しい審判を下したいものです。