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≪レポート≫ 佐藤エステートビル株式会社 違法解雇事件 

横浜地域労働組合の組合員Aさんが、佐藤エステートビル株式会社(渋谷区・不動産業)から「コロナでの減収を理由とした整理解雇」を通知されてから半年が経過しました。

 私たちはこの間、3回の団体交渉を行い、解雇の必要性がない事を主張して解雇撤回を求めてきましたが、会社は「解雇理由を示せない」にも係わらず、かたくなに解雇撤回を拒否するだけという姿勢に終始していました。そこでAさんはやむなく裁判に訴えることとし、1月13日に一回目の裁判期日を迎えました。

 2021年1月13日(水) 東京地方裁判所612号法廷に入ると、Aさんと海渡弁護士、馬込弁護士の三人は法廷内に座り、傍聴席の組合員が見守る中、開廷を待っていました。

 一回目の裁判では、Aさんが思いを「意見陳述」という形で陳述しました。裁判官もしっかりとAさんの方を向き、聞いてくれていたという印象でした。以下、Aさんの陳述を紹介します。

 

1 原告のAです。今回この裁判に至った経過や、現在の私の思いなどの意見を述べます。この様なお時間を頂けたことに感謝致します。

2 入社に至る経緯と入社後の業務内容

私は、公共職業安定所に掲載されていた一般事務兼管理業務の求人票を見て応募しました。面接時、佐藤社長より「ビル管理の方は男のs君がやるから前任者がやっていた事務をやってほしい。」との話があり、その前任者は6年程の経験、また上司であるSさんはそれ以上の経験者との事で、離職率も低い法人であり、働きやすい環境で定年まで安定して働けると思いました。

採用後、一般事務業務の他、雨漏り対応等のビル管理や、佐藤社長の関連会社の事務やイベント業務で休日出勤が増え、また、佐藤社長のお母様の介護などにも携わり、面接時の説明では想像し得ない業務量となり大変でしたが、日々要求に応えるよう努力してまいりました。

3 整理解雇の説明や態度が不誠実であることについて

本件整理解雇について、上司のS部長は「社長が決める事に対して、私は口出しできません」等と述べました。佐藤社長は、コロナにより経営が厳しいと口頭では話をされましたが、それを証明する資料の提出については、「個人情報にもなるから、やたらと見せられない」等と述べられた上、解雇撤回も拒否されました。

また、佐藤社長は入社時に示されていない団体を立ち上げ、その業務が次々に追加されるようになったり、休日出勤が増えたりしたこと等について、私が改善を求めたり昇給等を求めたことがありましたが、そういう事は不満と捉えられ、佐藤社長は「ちっとも気持ちが良くない」と述べるなど、この整理解雇には佐藤社長の個人的な好き嫌いの感情が強く出ていると感じ、大変悔しい気持ちになりました。

4 労働組合から不当解雇である旨を指摘して職場復帰を要求

これ以上は個人での話が出来ないと思い、横浜地域労働組合から正式に団体交渉を申入れ、不当解雇である為、改めて解雇撤回を要求し、整理解雇4要件を満たしているのかについての説明と証明書類の提出も求めました。

しかしながら、会社からは要件を満たす説明や書類の提出はされず、「丼勘定である」との話までされる様な有り様で、とりあえず交渉の場には出るという態度である様に見て取れました。さらに、会社は人員削減が必要だと言って私を整理解雇しておきながら、同時期に私の場合とほぼ同じ労働条件で求人を出しています。また、雇用調整助成金などについても存在すら知らず、制度について説明をしても「調べてそういう申請をするとか、そういう事もやっぱりそれなりに時間をくう事だし」などと述べて、調査・申請をすること自体が時間の無駄であるかのような発言をしました。コロナにより経営が厳しいというのは口実に過ぎないことは明らかです。

労働組合を通してもなお、この様な対応を取り、乱暴な解雇を通そうとする会社は、個人的にも社会的にも許してはならないと思います。

経営陣には、本解雇が無効であると理解して頂きたいです。その上で労働条件を正常な形に改善し、職場復帰する事を望みます。

5 最後の手段

これまでの説明の通り、個人や組合を通して何度も解雇撤回や説明を求めて参りましたが、会社は解雇撤回を拒否し続け、4要件を満たす説明や書類の提出もされないまま私は解雇扱いにされてしまいました。

仮に労働審判をしても恐らく会社から出てくる内容は変わらず、時間ばかりが取られることが容易に見て取れた為、私は最後の手段として、この整理解雇が無効であるとして地位確認等を求めて提訴致しました。

裁判官の方には、本件について公正な判断をして頂けると信じております。お時間を頂き、有難うございました。

 

次回の裁判期日は

2月24日(水)11時30分~ 東京地方裁判所 第19民事部

※次回は弁論準備ということで本来は傍聴ができるのですが、コロナの感染防止のため傍聴は遠慮してほしいとの裁判所からの要請がありました。激励に来ていただいた方には、終了後に報告会を行いますが、傍聴できない可能性もあることについてはご了承ください。

引き続き、ご支援を宜しくお願いします!

                                        横浜地域労働組合