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≪「付帯業務」という名の無賃労働 -教員のシャドーワークという課題-≫

【↑写真は授業を準備するためのメモの一部】

 横浜地区労の幹事会(毎月開催)で報告された、教員の「無賃労働」の実態について、大学等教職員組合のAさんにレポートをいただきました。

 

「授業および付帯業務」──これが我々非常勤講師が契約で求められている「仕事」である。

だが「授業」は当然として「付帯業務」とは何だろうか。

まずは授業の準備。

授業とは教室に行けばできるというものではない。

高校地歴公民科の場合、教科書を中心とした教材研究を行い、関連項目を調べ「何を、どう教えるか」を立体的に考えていく。

クラスによっては入試問題を持ってくるし、傾向と対策も確認する。

それだけやるのにどれくらい時間がかかるか。

よく言われるのが「授業50分につき準備50分」だが、これは最低限の時間であり、実際にはきりがない。

「どこまでやればいいか」ではなく「どこでやめればいいか」なのだ。

 

授業が終わっても「付帯業務」は終わらない。

熱心な生徒になればなるほど突っ込んだ質問をしてくるし、逆にできない生徒の「入ってこない」という一言のつぶやきで、さらに詳しい説明をすることになる。

気が付いたら次の時間のチャイムが鳴ったりする。

 

筆者の出講先では、昼休みが始まってから20分後にチャイムがなる。

この時間までは、生徒は職員室に入って来れない。

その間に昼食を食べなければ昼抜きになりかねないわけだが、それにしてもわずか20分である。

こんな状況は6限が終わっても続く。

教員の間では「生徒につかまっちゃって」と言えばすべてわかってもらえるのだが、気が付けば18時を回っていたりする。

 

そして定期試験のたびごとに、限りのない作問・印刷・採点・入力業務。

時として徹夜になるが、筆者の出講先では18:30に閉校となるため、当然すべて持ち帰り残業になる。

それどころか「必要なら休日出勤して問題を作ってください」などと平然と言われる始末。

それにより過労死しても労災は適用されないし、保障もない。

 

これがすべて無給の「付帯業務」である。

これに対し使用者が賃金で報いることは、もはや当然だろう。

大学等教職員組合では、それを求めてたたかっているのである。