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静岡、札幌でのストライキを経て、 東京地裁で第一回目の口頭弁論

≪静岡、札幌でのストライキを経て、東京地裁で第一回目の口頭弁論≫

東海大学教職員組合

執行委員長 佐々木信吾  

 

【北の大地へ】

12月5日・9日の東海大学静岡キャンパスでのストライキに続いて、1月17日には札幌キャンパスにてストライキを実施して参りました。

静岡では静岡県評の、北海道では北海道労連・札幌地区労連の皆様の絶大な支援を頂きました。この支援なしでは、適正な段取りも分からなかったし、使用者への圧力にもなりませんでした。深く感謝しています。

私達が日頃意識している「地域間の連帯」を進める実践となったように思います。

ストそのものは、温暖な静岡とは一変。前日が猛吹雪の札幌。奇跡的に翌日の晴れ間に行うことができたことは幸いでしたが、とはいえ大学は郊外でスキー場横なので寒さは尋常でなく、「足の裏が痛くて仕方ない」状態でした。スト当日は組合旗やのぼりは「雪に差す」というのも驚き。日暮れが神奈川より早く、夕暮れ時のストとなりました。

 

テレビ北海道が放送してくれた特集がYouTubeに残っているのでぜひご覧ください。

https://youtu.be/Q0cI7xohpg4 

 

北海道労連・札幌地区労連の仲間が、初対面なのにこんなに親身にしてくれることに感激しました。

帰りの便まで空き時間があったので、門前でビラ配りしようとすると「やめた方がいいよ」との返答。聞けば「冬眠に失敗したヒグマが里に下りてきている」とのことでした。冗談かと思いましたが、皆さんの顔が笑っていませんでした・・・

ストライキ当日は、横浜地区労の薮事務局長と志田昇首都圏大学非常勤講師組合委員長が一緒に来てくれましたが、スト後に地元の皆さんをお見送りすると薮さんが「どうしてもラーメンを食べたい」と主張。異存あるはずもなく、空港のラーメン道場に直行。味噌ラーメンが身に沁みました。

 

【ストライキを終えて】

 ストライキは年度を越えてもまた続きますが、やってみて実感できたことも多くあります。

① ストを実行した人の負担を慮って、組合員の間の連帯が強まりました。内部の教職員や学生からの応援が多かったこともエネルギーになりました。

② 東海大学側の弁護士はプロであり、団交でも相変わらず冷静にゼロ回答を繰り返します。しかし、ストを打ったことにより、その弁護士にも、同席する中間管理職にも「組合なんてなにもできないでしょ」という舐め切った色彩は明らかに消えていました。その感覚を奥にいる経営者に届けねばなりません。

③ 反省も多くあります。やはりスト当事者数や日程が小規模だと、どうしても当事者らは見えない重圧を感じるでしょうし、天候等の影響は無視できません。

④ 報道各社の扱いは思った以上でした。私達としては、組合員の9割が首切りされる大量雇い止めなのでストするしかなかったのですが、もしかしたら、世論がもっと怒ってよいと後押ししてくれているのかもしれません。スト後、一か月してから中日新聞では一面トップで扱ってくれました。

 

【訴訟の進捗】

横浜合同法律の田渕大輔弁護士に担当して頂いている訴訟(無期転換・地位確認)第一陣の口頭弁論が1月23日に東京地裁631法廷で行われました。

こちらは河合紀子静岡支部長が意見陳述しました。

素晴らしい陳述だったとの声ばかりでした。

相手方は欠席でした。

 

次回は3月6日(月)14時 東京地裁631法廷です。

第二陣も既に提訴済です。2月13日の全労連主催の院内集会で再度アピールして参ります。

                            

【傍聴支援者の感想】

(沓名さん・全法務横浜支部、地区労常任幹事)

 1月23日(月)13時20分から、東海大学教職員組合の非常勤講師地位確認訴訟の第1回期日が、東京地裁631号法廷で行われました。第1回目の期日でしたので、原告を代表して河合さんが訴えに至った経緯、自分を含めた原告の置かれている現状を力強く、かつ丁寧に意見陳述しました。

「講師として70歳まで働ける」と大学側が言っていたことを信じ、そのつもりでの生活設計が、非常勤であると言うだけで簡単に破壊されてしまうのは、納得できない、東海大学だけでなく、すべての非正規労働者に当てはまる、いま日本中で発生している深刻な問題です。

担当している代理人の田淵弁護士は「いかに早く解決するか」に重点を置いて訴訟を進めていくと今後の方向性を話していました。

法定が終了したあと、原告の皆さんが支援者に挨拶をしました。

河合さんは「皆さんのお陰でここまで来れたが、ここからが大事」。笠利さんは「絶望的な気分だったが、勝ってやるという思いが強まった。皆さんのお陰」。ブラッドリーさん「怒りをパワーにしたい」。

今回、相手方は出廷していませんでしたが、次回期日3月6日からは出廷します。引き続き支援を強化したいと思います。

 


裁判での意見陳述

 

令和4年(ワ)第29330号 無期労働契約の地位確認等請求事件

原告 ●● 外7名

被告 学校法人東海大学

陳述要旨

2023(令和5)年1月23日

 東京地方裁判所民事第36部合議C1係 御中

                            原告 ●●

 

1 私は、原告の●●です。原告8名を代表して、意見陳述を行います。

  私は、19年間中断なく東海大学で教壇に立ってきましたが、任期法とイノベ法を理由に無期転換を認められず、今年度限りでの雇い止めを通告されております。

 

2 今回の雇止めによって、私だけでなく夫である原告●●の収入もなくなります。私たちは子ども2人を抱えていますが、毎月36万円の収入が0円になってしまいます。

私たちは12年前に融資を受けて住宅を購入し、滞りなく返済してきました。

雇用契約書に契約更新の限度が70歳と記載されていることで、私たちの雇用も70歳まで続くことを前提に融資が下りました。

しかし、このままでは返済を続けていけなくなります。

自宅は差し押さえられて競売にかかるか、任意売却で手放さなくてはならなくなります。

 

また、昨年、私たちは日本政策銀行の教育ローンでお金を借りて、

子どもを私立大学に入学させることができました。

しかし、このままでは教育ローンの返済もできなくなります。

親である私たちの在職証明書がないと、追加の融資は受けられず、

子どもは学費未納で除籍になってしまいます。

 

このように、私たちは70歳まで東海大学で働いて収入を得ることを前提に、生活プランを立ててきました。

臨時のアルバイトはできても、東海大学で働くことで見込んでいた収入に相当する金額を稼ぐことは到底できません。

  

一例として、私の経済事情を申し上げましたが、

原告団の非常勤講師一人一人に内容の違いはあっても、

全員について生活破綻が起こることは必至です。

 

3 大学からの雇い止め通告は、1通のメールで行われました。

組合の団体交渉に出席する数日前に、突然送られてきたメールです。

メールには、雇い止めの具体的な理由は書いてありませんでした。

事前の面談も行われませんでした。

唯一、雇止めの決定は上からの命令だと書いてありましたが、

これは理由ではありません。

そして、英語の主任の教員は、多くの非常勤講師に雇止めを告げる一方で、

5年未満の期間で働く新人の先生を探して、内定者と連絡を取り合っています。

  

私たち非常勤講師の業務は、あくまでも大学の授業実施に限られ、

研究室も研究費もプロジェクトもありません。

この実態から、私たちは授業を行う教育従事者であり、

研究職には就いていないことを改めてこの場で申し上げます。

 

4 原告団のほとんどが、2013年4月から数えると、

今年2023年春に満10年を迎えます。

東海大学での勤続年数として考えるならば、20年前後の人もたくさんいます。

私たちは、大学は無期転換をさせないために雇止めを行ったと強く疑っています。

もしもそうなら、あまりにも酷い仕打ちです。

現在、5年での無期転換は、大半の大学で問題なく認められています。

私たちも雇い止めされることなく、法律に則って無期転換できるような

裁判所の判断を頂きたいと思っています。

以上